古民家の物件調査は、購入判断を左右する重要なステップです。2件の古民家購入を経験した筆者が、実際の調査時に確認すべきポイントを解説します。

建物の基本情報確認
1. 築年数と来歴
- 建築年
- 増改築の履歴
- 過去の修繕記録
- 居住者の有無と期間
2. 法的確認事項
- 所有権の状況
- 境界確定の有無
- 建築基準法の適合性
- 接道状況
構造に関する調査ポイント
1. 基礎の状態
- 基礎の種類(石場建て、コンクリート等)
- ひび割れの有無
- 沈下や傾きの状況
- 水はけの様子
2. 柱・梁の状態
- 主要な柱の傾き
- 梁のたわみ
- 木材の腐食状況
- 継ぎ手の状態
3. 屋根・天井
- 雨漏りの跡
- 小屋組みの状態
- 棟の通り
- 瓦のズレや破損

生活に関わる重要ポイント
1. 水回りの状況
- 給排水管の状態
- 井戸の有無と使用可否
- 浄化槽の種類と状態
- 水道水の水圧
2. 通気・換気
- 床下の換気状況
- 壁内の通気
- カビの発生状況
- 結露の痕跡
3. 害虫・害獣対策
- シロアリ被害の有無
- ネズミの痕跡
- スズメバチの巣
- 害虫駆除の履歴
プロの調査で確認すべき項目
1. 耐震性能
- 筋交いの有無
- 金具補強の状況
- 耐震基準との適合性
- 補強の必要箇所
2. 設備関係
- 電気配線の状態
- アンペア数
- ガス設備の種類
- 火災報知器の設置

調査時の実践的アドバイス
1. 調査のタイミング
- 晴れの日と雨の日で2回見学
- 朝と夕方など時間を変えて確認
- 季節による変化を考慮
2. 持参すべき道具
- メジャー
- 懐中電灯
- カメラ
- 筆記用具
- 下げ振り
3. 記録のポイント
- 写真は必ず全体と詳細を撮影
- 気になる箇所の寸法を記録
- 補修が必要な箇所をリスト化
実例:私の調査経験から
実際に購入した古民家での調査時に発見した重要ポイント:
【1軒目】
- 雨樋の破損による漏水
- 床下の一部腐食
- 屋根裏の小屋組みの歪み
【2軒目】
- 基礎石の沈下
- 電気配線の老朽化
- 雨戸のレールの損傷
まとめ
物件調査は、購入後の改修費用を大きく左右する重要なプロセスです。可能な限り専門家に同行を依頼し、複数回の調査を行うことをお勧めします。
特に重要な3つのポイント:
- 構造に関わる部分は妥協しない
- 水回りは特に念入りにチェック
- 修繕履歴の確認を忘れずに
次回は「古民家の耐震診断|専門家が見る重要ポイント」について詳しくご紹介します。
※この記事の情報は2024年1月時点のものです。
※物件の状態は千差万別です。必ず専門家の調査も依頼することをお勧めします。